目次
第一部 自然状態の原因
第一章 徳と幸福
第二章 自由な意思規定にみられる悪の問題
第三章 自然状態の二重性——「法律的自然状態」と「倫理的自然状態」
第二部 市民社会と啓蒙
第四章 悪の問題の解決策としての二つの「市民社会」
第五章 啓蒙——思考様式の真の改革
第六章 理性の公共的使用と統治
第三部 共和制への漸進的改革の諸相
第七章 民主制へのパラドクスとカントの共和制概念
第八章 政治における「知恵」の概念——公的意志の形成をめぐって
第九章 統治の改革と祖国的な「思考様式」
結論 「市民社会」が自らを変容させうる条件について
内容説明
カントの思想において、市民社会はなぜ必要であり、どのような結合でなければならないのか。従来、政治的社会の観点からのみ考察されてきたこれらの問いを、倫理的社会の観点からも問い直し、カントの「市民社会」概念を新たに再構築する試み。