目次
第Ⅰ部 近代社会の枠組み
第1章 市場がとらえる直感的再帰性
――再帰性の変容(中西眞知子)
1 はじめに
2 認知的・制度的な再帰性から美的・解釈学的な再帰性へ
3 グローバル社会における市場再帰性やメディア再帰性の誕生
4 日本の再帰性
5 市場がとらえる美や五感の直感的再帰性とプラットフォーム資本主義
6 結 び
第2章 社会学における待機の問題
——シュッツのパースペクティブからの接近(鳥越信吾)
1 はじめに
2 待機はどのように論じられてきたか
3 シュッツにおける時間と生活世界
4 シュッツにおける待機
5 シュッツ待機論の示唆
6 おわりに
第Ⅱ部 コミュニティ
第3章 共同体を想像すること
――スコット・ラッシュにおける共同体論の再構成(牛膓政孝)
1 はじめに
2 ギデンズ社会学への批判
3 ラッシュ共同体論をめぐる2つの観点――非認知的なものと伝統
4 共同体を想像すること
5 おわりに
第4章 フォレンジックスの時代
――建築家エヤル・ヴァイツマンの思想と実践(近森高明)
1 不可視化する都市
2 フォレンジック・アーキテクチャ
3 フォレンジックスの時代
4 支配の建築
5 人道の逆説
第5章 統治実践における「社会的なもの」
――19世紀後半ドイツにおける社会国家形成を事例に(坂井晃介)
1 問題の所在
2 社会国家の形成前提としての労働者保険立法
3 政治のGesellschaft――維持される秩序として
4 国家介入の理由
5 学術的知見の部分参照――ヴァーゲナー・ローマン・ビスマルク
6 結 論――「社会的なもの」の分岐と相互的部分参照
第Ⅲ部 欲望と消費
第6章 欲望を生み出す社会,社会を生み出す欲望
――欲望の再帰的構成(赤堀三郎)
1 はじめに
2 20世紀における欲望の変容
3 欲望に対する解釈がもたらすもの
4 欲望のゆくえ
第7章 物語論,脚本論の観点から分析する物語広告(津村将章)
1 物語の読み解き方
2 分析対象
3 物語広告の分析
4 まとめと考察
5 研究の限界と今後の課題
6 グローバル社会における物語広告の役割と今後の展開
第8章 モバイル=デジタル時代の観光
――「観光の終焉」? それとも「観光の徹底」?(遠藤英樹)
1 はじめに
2 現代の「社会空間」に影響をあたえるモビリティ
3 「モビリティの時代」における「社会空間」としてのメディア
4 ツーリズム・モビリティを「現実」化する「プラットフォーム」
5 むすびにかえて――宙吊りにする問い
第Ⅳ部 アイデンティティと文化
第9章 日本社会における圧縮された自己の変遷
――近代的個人・私化する自己・心理化する自己をめぐって(片桐雅隆)
1 圧縮された自己とは――本章の主旨について
2 近代化と近代的個人
3 大衆社会化と私化する自己
4 心理化と心理化する自己
5 おわりに
第10章 文化はデザインするのか,変容するのか?
――シンガポールの文化制度からの考察(川崎賢一・伊志嶺絵里子)
1 目的と背景
2 芸術文化政策の変遷と省庁再編
3 政府からの補助金と助成事業
4 シンガポールは文化をデザインしたのか?
第11章 「ゾンビ概念」としての多文化主義?
――ポスト7/7時代におけるイギリスの社会統合をめぐる理論・言説・政策(安達智史)
1 「ゾンビ概念」としての多文化主義?――ヨーロッパ社会の統合をめぐる危機
2 イギリスにおける多文化主義とその「死」
3 インターカルチュラリズム
4 平行生活とコミュニティの結束
5 インターカルチュラリズムへの反批判
6 Dead, but still Living!!――「ゾンビ概念」から「ゾンビ多文化主義」へ
第12章 Perceptions in and of the City:
Transformations of Multiculturalism(Richard Harris)
Introduction
Cosmological perception
Geographical perception
Environmental perception
Communal perception
Residential perception
Personal perception
Conclusion
あとがき(中西眞知子・鳥越信吾)
内容説明
昨日はブレグジットだった。先週はコロナウイルス。明日はトランプが無罪放免される。
グローバリゼーションはこれまで脅威にさらされたことがなかった。
しかし本書は,もう一つの空間を開いてくれた。さらなる再帰的グローバル化である。
フォレンジックス(復元)の知覚と欲望のエネルギーと多文化主義が,
さまざまな社会と自己の変容の可能性を開く。
2018年のスコット・ラッシュ来日講演をきっかけに,ラッシュの理論・著作に刺激を受けた研究者たちによって編まれた論文集。近代社会の枠組み,コミュニティ,消費と欲望,アイデンティティと文化というⅣ部構成で,さまざまな観点からグローバル社会を論じる。
装丁 安藤紫野
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