目次
第Ⅰ部 ウィトゲンシュタインと他者
第一章 他者と沈黙―ウィトゲンシュタインとニヒリズム
1 はじめに
2 論理哲学論考、もしくは自己否定する書物
3 類似と断言
4 他者のニヒリズム
5 言語ゲームと他者
6 ゲームの規則
7 承認と沈黙
第二章 言葉が世界に触れる―『論考』における像と表現
1 はじめに
2 像としての言語
3 表現の構造
4 接触の論理
5 沈黙と表現
第三章 言語ゲームの向こう側―ウィトゲンシュタインと「人間」の問題
1 はじめに
2 他者としての人間
3 言語ゲームと二人称的関係
4 対話と他者
5 言語ゲームの向こう側
第四章 精神分析・言語ゲーム・他者の心
1 心について語ること
2 フロイトとウィトゲンシュタイン
3 言語ゲームという神話
4 精神分析の知
5 非対称な知に向かって
第五章 世界像と他者―『確実性の問題』再考
1 はじめに─ 疑いを生きるということ
2 言葉への懐疑(一〜六五節)
3 世界像と他者(六六〜二九九節)
4 原初的言語再考
5 規範の他者性(三〇〇〜六七六節)
6 世界像としての他者
7 おわりに
第Ⅱ部 言語ゲームからケアの哲学へ
第六章 ケアと他者経験―言語ゲームから〈語りの知〉へ
1 はじめに
2 言語ゲームとケアの地平
3 ケアの原初性
4 ケアされたことの根源性
5 喪失と「受け取り直し」
6 〈語りの知〉へ
第七章 沈黙をともに聴く―グリーフケアと言葉の哲学
1 はじめに
2 ケア、この「苦悩」に向きあうかたち
3 グリーフケアの本質
4 方法としての言葉
5 沈黙からの出発
6 生者と死者の出会うところ─ 耳のナラティヴへ
第八章 魂の在り処―グリーフケアと対話の哲学
1 はじめに
2 「ウワバミ」の吞み込んでいたもの─ 星の王子さま①
3 ヒツジと箱─ 星の王子さま②
4 「魂」の在り処─ 星の王子さま③
5 よみがえる「すがた」
6 おわりに─ 刷新されるスピリチュアリティ
第九章 「身振り」としての沈黙―グリーフケアの哲学
1 はじめに─ 沈黙をともに聴く
2 グリーフケアの場所
3 失語から沈黙へ
4 「身振り」としての沈黙
5 おわりに
第一〇章 ケアにおける非対称性―あるいは死者の眼差し
1 はじめに
2 ケアの双方向性と非対称性
3 〈柔和な女〉─ 共依存のドラマ
4 死者の眼差し
5 ケアの再起動のために
あとがき
参考文献一覧
索引
内容説明
〈沈黙〉を聴くことで、他者に出会う。
死と再生の経験を照らす、ケアの眼差しへ。
ウィトゲンシュタインの哲学を起点に、
その独特の言語観を「他者」との関係性から論じつつ、
私たち人間の生の在り様とその行方を探求する。