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子どもと家庭を包み込む地域づくり

教育と福祉のホリスティックな支援

子どもと家庭を包み込む地域づくり

ボランタリー組織,社会福祉協議会,こども食堂……様々な機関が連携して住民が主役となる地域づくりのモデルを紹介し,展望する

著者 谷川 至孝 編著
岩槻 知也 編著
幸重 忠孝
村井 琢哉
鈴木 友一郎
岡本 工介
ジャンル 教育
福祉
出版年月日 2022/03/10
ISBN 9784771035829
判型・ページ数 A5・188ページ
定価 2,860円
在庫 在庫あり
 

目次

はじめに――今,なぜ「包括的な支援の地域づくり」なのか―― 谷川至孝
1.子どもたちの抱える複合的な課題
2.世界共通の課題としての地域づくり
 (1)学校での福祉的な取り組み――日英における歴史的な相違――
 (2)現代における世界共通の課題――福祉国家の行き詰まりと地域福祉への注目――
 (3)本書のアプローチ・特徴

序 章 地域づくりを考える際の視点――日英比較から―― 谷川至孝
1.英国における地域再生政策の中の教育
 (1)保守党政権における地域再生政策
 (2)労働党政権における地域再生政策と教育
2.我が国における地域づくりと教育
 (1)「チーム学校」の文脈から
 (2)「我が事・丸ごと」地域共生社会の文脈から
3.英国保守党(連立)政権におけるコミュニティとECM
 (1)保守党の政策理念
 (2)保守党(連立)政策の実際
4.我が国の事例を検討する際の視点

第Ⅰ部 地域の取り組み

第1章 沖縄県――内閣府の補助金を基盤とした取り組み―― 谷川至孝
1.沖縄県の子どもの貧困と地域の実態
 (1)歴史を背負う沖縄の地域特性――「ゆいまーる幻想」――
 (2)沖縄県の子どもの貧困の実態
2.沖縄県及び市町村の子どもの貧困への取り組み
 (1)県事業
 (2)内閣府からの補助金に基づく事業
 (3)市町村の取り組み
3.補助金が支える沖縄の地域づくりから見えてきたこと

第2章 滋賀県――社会福祉協議会を中心とした取り組み―― 幸重忠孝
1.脈々と受け継がれる共助の福祉
 (1)福祉の滋賀県
 (2)抱きしめてBIWAKO
 (3)滋賀の縁創造実践センター
2.淡海子ども食堂
 (1)無料学習支援による居場所づくりの限界
 (2)学校の数と同じ数の子ども食堂を目指して
 (3)子ども食堂の種をまき育てる仕組み
 (4)子ども食堂から広がる支援の輪とその課題
3.フリースペース
 (1)居場所づくり小委員会から誕生
 (2)ケア型の子どもの居場所
 (3)児童福祉施設ではない福祉施設で子どもの居場所づくりを行う意味
4.共助の限界(コロナによる活動停滞)

第3章 明石市――首長の政策展開に基づく地域づくり―― 谷川至孝
1.子ども家庭福祉に関する施策
 (1)ユニバーサルで基盤的な施策
 (2)選別的で特定の課題に対応する施策
 (3)その他特色ある施策
2.政策理念と政策効果
 (1)すべての子ども
 (2)収入増と好循環
3.明石市長 泉房穂氏へのインタビュー
 (1)二つの好循環――子ども施策の強化が生みだす税収増と政策実行力――
 (2)教育と福祉の連携を阻む二つの行政構造とそれへの挑戦
4.地域づくりへの政策の広がりと継続性
 (1)子どもも大人も「誰も排除しない」まちづくり
 (2)地域づくりの担い手・継続性

第4章 大阪市西成区――ボランタリーセクターの伝統的な活動―― 谷川至孝
1.西成区の地域特性――釜ヶ崎について――
 (1)「日雇い労働者の町」の形成
 (2)民間活動を基盤とした「福祉の町」への取り組み
 (3)子どもたちへの支援
2.今日の子どもとその家庭を支援する地域づくり
 (1)西成区の子育て支援組織の形成と地域福祉体制への発展
 (2)要対協の活動状況
3.ボランタリーセクターが行政をまきこむ地域づくり
4.広がるボランタリー組織が核となる地域づくり――西成特区構想について――

第Ⅱ部 ボランタリー組織の取り組み

第5章 山科醍醐こどものひろば(京都市山科区・伏見区醍醐地域) 村井琢也
1.子どもとともに育ちあえる環境を目指し40年
 (1)京都市郊外のベッドタウン
 (2)よりよい育ちあいを目指す文化から生活までの多様な活動
 (3)個別対応型活動から見えた子どもの貧困と対策への動き
2.子どもの貧困対策事業
 (1)楽習サポートのびのび
 (2)信頼できる大人との出会い
3.学校・行政・地域連携における子どもの育ちの環境づくり
 (1)A小学校との連携による放課後活動・通学合宿
 (2)B中学校における放課後学習支援
 (3)山科区子ども・若者未来トーク
 (4)「子ども遊び学び食堂・醍醐ネット」と地域連携
 (5)京都市ユースサービス協会と地域・行政連携の学習支援
 (6)2017年度実施の子どもへのアンケート調査
 (7)連携事業を行うなかでのポイント
4.制度外事業による重層的関わりとその蓄積の重要性
 (1)年齢・方法別支援から継続的・重層的個別活動へ
 (2)小地域活動と地域越境型活動の組み合わせ
5.安全を確保し安心を届ける活動を続けるには

第6章 ももやま子ども食堂(沖縄県沖縄市) 鈴木友一郎
1.沖縄県内初の子ども食堂としてオープン
2.沖縄市の生活と施策
 (1)基地と隣り合わせの生活と暮らし
 (2)人の孤立化が進む地域社会の変容
 (3)深刻な生活状況と地域格差
 (4)施策課題を残している保育と教育
3.人の成長に不可欠なことが奪われている子どもの状況
 (1)子どもの様子(子どもの言動から)
 (2)親,地域,学校の状況
 (3)子どもの生活実態の整理
4.居場所として取り組んできたこと
 (1)子ども食堂と夜の居場所の2本の柱
 (2)泊りの機能
 (3)子ども参画の視座
5.ももやま子ども食堂の成果と課題
 (1)社会資源としての機能を果たす到達点
 (2)改めて,コロナ禍において浮き彫りになったこと
 (3)課題として(行政との関係)
6.これから,居場所で取り組む実践――2021年度から新たに取り組むこと――
7.沖縄社会の方向性
 (1)理念哲学
 (2)沖縄県及び市としての今後の方向性を考える前提
 (3)子ども施策を進める
8.子どもの「今を生きる」を大切に

第7章 こどもソーシャルワークセンター(滋賀県大津市) 幸重忠孝
1.こどもソーシャルワークセンターのあゆみ
 (1)行政と民間団体をつなぐ役割からの誕生
 (2)居場所の運営と子どもの居場所を広げる役割
2.「居場所」のモデル事業づくり
 (1)受け入れのための仕組みづくり
 (2)地域のボランティアによる子どもの心地よい環境づくり
 (3)まちのおみせなどを巻き込んでの事業展開
 (4)子どもたちとつくる次への活動づくり

第8章 タウンスペースWAKWAK(大阪府高槻市) 岡本工介
1.高槻市富田地区における子どもたちの包括支援の仕組み
2.「ただいま~といえる子どもの居場所づくり事業」の取り組み
 (1)子どもの居場所づくり事業――学習支援と二つの子ども食堂――
 (2)困難を抱える子どもたちの包摂の仕組み――本当に来てほしい子どもたちが来られるために――
 (3)包括的な総合支援体制づくり
 (4)地域社会全体にうねりを起こす共生食堂――コレクティブ・インパクト(セクターを越えた多職種連携)――
3.居場所を持続可能なものにするための財源
 (1)持続可能性を握る組織運営と財政の課題
 (2)WAKWAKの挑戦
4.「新型コロナ禍緊急支援プロジェクト」
 (1)新型コロナ禍における子ども食堂の状況
 (2)新型コロナ禍に起こる様々な課題
 (3)「食・学び・心のケア・制度への伴走型支援」を一体的に実施

終 章 「ケア」が息づく地域づくり 岩槻知也
1.いま,なぜ「地域づくり」なのか?
 (1)「無縁社会」の衝撃
 (2)「コミュニティ形成」としての地域づくり
2.コミュニティ形成の理論的基盤――ソーシャル・キャピタル研究――
 (1)一人でボウリングをする
 (2)「ソーシャル・キャピタル」の概念
 (3)パットナムの研究とその意義
3.「ケア」とコミュニティ
 (1)「ケア」とは何か?
 (2)「ケアリングコミュニティ」の視点
 (3)パートナーシップのまちづくりに学ぶ――長野県茅野市の場合――
4.「孤独・孤立」に立ち向かう――地域づくりが目指すもの――

おわりに――地域づくりへの提言―― 谷川至孝
 (1)ボランタリーセクターの活躍と未成熟
 (2)地域づくりを支える行政の役割
 (3)社会福祉協議会が生みだす「新しい共助」の可能性
 (4)地域づくりの足掛かりとしての子ども食堂
 (5)子ども家庭福祉(研究)から地域福祉(研究)へ

あとがき

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内容説明

すべての子どもと家庭にウェルビーイングをもたらす地域づくり

ボランタリー組織,社会福祉協議会,こども食堂,学校,児童相談所,地方自治体,国……様々な機関が連携して住民が主役となる地域づくりのモデルを紹介し,展望する.

第一部では,地域づくりの先進的で特徴的な取り組みを展開している地域=沖縄県(内閣府からの補助金),滋賀県(社会福祉協議会の挑戦),明石市(市長の政策展開),大阪市西成区(ボランタリー組織の活躍)を紹介する.

第二部では,実際に地域づくりに取り組んでいるボランタリー組織の実践家が,組織のミッションや取り組み,外部からはなかなか見ることの難しい地域づくりの内実など,その活動のリアリティを描く

【書評掲載情報】
・『基礎教育保障学研究』第6号(2022年8月)
 「・・・地域で求められる「教育と福祉のホリスティックな支援」に結びつく実践のバイ
ブルとなることまちがいない・・・」

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