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アートの根っこ

想像・妄想・創造・捏造を社会へ放つ

アートの根っこ

社会の自明性を揺るがすアート作品/活動を、根っこから問いなおす。人類学、社会学、アーティストたちによる応答と対話の共創。

著者 青木 惠理子 編著
ジャンル 社会 > 文化研究
社会 > 文化人類学
芸術
出版年月日 2022/03/30
ISBN 9784771036192
判型・ページ数 A5・198ページ
定価 2,530円
在庫 在庫あり
 

目次

Prologue 他者たちの出会いとアート的なるもの(青木惠理子)

Chapter 1
創ること、働くこと、そして棲まうこと
――知的障害者施設の挑戦――

Talk 障害のある人とともに社会を変える(岡部太郎)
Essay 労働と芸術が交わる地点(松本 拓)

Chapter 2
インドにおける祝福と未来の招来

Talk ヒジュラの紐帯、生業、パフォーマンス――女神への献身と市民の人権――(山崎浩平)
Essay インドにおける表象と自己主張(舟橋健太)

Intermezzo Essay 潜在的なものを社会へ――井上葉子のアートアクティビズム――(青木惠理子)

Chapter 3
共同妄想記憶のリアル
――地域で考え、創り、集う――

Talk 地域におけるリアル――記憶の捏造/創造――(白川昌生)
Essay 場所について(山田創平)

Chapter 4
出会いの到来を待つ技法
――日本・イタリア・精神障害・演劇――

Talk なれ合いを共感で内側から破る(くるみざわしん)
Talk 『外』とであうためのあわい――イタリアの地域精神保健と演劇実験室から――(松嶋 健)
Discussion 願う、待つ、出会う
(くるみざわしん・松嶋健・島すなみ・森越まや・広瀬隆士・村澤真保呂・青木惠理子・舟橋健太・松本拓・山田創平)
Essay 生の危機とアート(青木惠理子)

Epilogue ここからさき、アートはどこへ向かうのか?(山田創平)

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内容説明


原初的な視座(根っこ)からアートを問いなおす


アート作品/活動は、人間と世界と社会の現状を照らし出し、その自明性を揺るがす。その力が顕れている諸事例の考察から、社会的出来事としてのアートの源泉に触れる。人類学者、社会学者、アクティビスト、アーティストたちによる応答と対話の共創。



…私たちはすべて相互に他者である。他者でありながら、あるいは他者であるからこそ、出会うことができる。これは、かつてもそしてこれからも変わらない普遍的な事態であろう。出会いは二者関係だけでなく、社会や共同体というネットワークや集合を生んできた。出会いの可能性は普遍的でも、出会いがどのような形になるかは、歴史的地政的影響がおおきいであろう。…中略…人々は知らぬ間にバラバラになり、同時に政治経済的格差が拡大している。このような時代的現状と複雑にからみあいながらアートは隆盛を見せている。そのような現状のなかで私たち執筆者が出会ったのは、他者との関係を大切にした暮らしに軸足をおいたアート的な活動とそれに携わる人たちだった。私たちの出会いを皆さんに伝えることができれば、本書は過分な目的を果たしたといえる。(「プロローグ」より)



《トーク・ディスカッション参加者》

岡部太郎[1章トーク]……一般財団法人たんぽぽの家 常務理事
山崎浩平[2章トーク]……文化人類学・人間文化研究機構/龍谷大学研究員
井上葉子[インテルメッツォ・エッセイ]……現代アート作家・Bennington College教員
白川昌生[3章トーク]……アーティスト
くるみざわしん[4章トーク、ディスカッション]……精神科医・劇作家
松嶋 健[4章トーク、ディスカッション]……人類学・広島大学大学院人間社会科学研究科教員
島 すなみ[4章ディスカッション]……詩人・ジェンダー研究・演劇研究
森越まや[4章ディスカッション]……精神科医・株式会社ラグーナ出版取締役
広瀬隆士[4章ディスカッション]……神奈川精神医療人権センター相談員
村澤真保呂[4章ディスカッション]……社会思想研究・龍谷大学社会学部教員


《執筆者》(執筆順,*は編著者)

*青木惠理子(あおき えりこ)[プロローグ,インテルメッツォ・エッセイ,4章エッセイ]
1953年生まれ.東京大学大学院社会学研究科(文化人類学)博士課程.オーストラリア国立大学太平洋アジア研究所(人類学)博士課程,Ph. D. 現在,龍谷大学社会学部教員.Arts in The Margins of World Encounters, (共編著,Vernon Press, 2021年).『女たちの翼――アジア初期近代における女性のリテラシーと境界侵犯的活動』(編著,ナカニシヤ出版,2018年).『生をおりなすポエティクス――インドネシア・フローレス島における詩的語りの人類学』(世界思想社,2005年).


松本 拓(まつもと たく)[1章エッセイ]
1976年生まれ.龍谷大学大学院社会学研究科博士課程修了.博士(社会学).現在,龍谷大学非常勤講師,龍谷大学ユヌスソーシャルビジネスセンター客員研究員.「ジンメルの生社会学」(博士論文)(2015年).「形式社会学再考――力の対立が生み出す生のリズム」『ソシオロジ』50(3)(2006年).


舟橋健太(ふなはし けんた)[2章エッセイ]
1973年生まれ.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了.博士(地域研究).現在,龍谷大学社会学部教員.『ようこそ南アジア世界へ』(共編著,昭和堂,2020年).『現代インドに生きる〈改宗仏教徒〉――新たなアイデンティティを求める「不可触民」』(昭和堂,2014年)など.


山田創平(やまだ そうへい)[3章エッセイ,エピローグ]
1974年生まれ.名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士課程修了.博士(文学).現在,京都精華大学国際文化学部教員.『未来のアートと倫理のために』(編著,左右社,2021年),『たたかうLGBT&アート――同性パートナーシップからヘイトスピーチまで、人権と表現を考えるために』(共編,法律文化社,2016年),「国東半島の空間性――その記述の多様性を手掛かりに」『国東半島芸術祭記録集』(美術出版社,2015年).

*カバー絵:山野将志「ジャングルのなかの碧い滝(部分)」(アクリル、紙、パネル/2009年)

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